AIツールに質問する前に名前を置き換えるだけでは、作業の半分にすぎません。もう半分は、回答に実名を戻し、実際に使える状態にすることです。ここでは、最初から最後までの手順と、問題が起きる箇所を順を追って説明します。
往復の5つのステップ
- 安全なコピーを作る。 すべての名前、会社名、住所、番号、生年月日を、Person_1やCompany_1のようなプレースホルダーに置き換えます。同じ人には、どこでも同じプレースホルダーを使います。
- 対応表を手元に保管する。 Person_1がMaria Lopezを表す対応表は、あなたのPC上に保管されています。チャットに入力されることはありません。
- AIに質問する。 安全なコピーと質問を貼り付けます。
- 回答を戻す。 対応表を保持しているツールにAIの返答を貼り付け、プレースホルダーを実名に置き換えます。
- 結果を読む。 書簡、メモ、クライアント宛てメールに使う前に、原文と照らし合わせて確認します。
最初のステップについては 顧客の文書をAIツールで扱う方法で説明しています。この記事では、ステップ2から5を扱います。
回答を元に戻しやすいプロンプトを書く
AIには、プレースホルダーを一字一句そのまま維持させます。プロンプトに次のように明記してください。
Person_1 is the tenant, Company_1 is the landlord and Address_1 is the rented flat.
Use these labels exactly as written in your answer. Do not invent new ones.
この一文がないと、AIがラベルを短くしたり、冠詞を付けたり、新しいラベルを作ったりすることがあります。また、「Person 1」のようにアンダースコアの代わりにスペースを使ったり、「person_1」のように小文字にしたり、「**Person_1**」のように太字にしたりする場合もあります。完全に一致するラベルを想定している復元手順では、こうした表記の違いを見落とすため、結果を読み、残っているプレースホルダーがないか確認してください。
復元手順で行うべきこと
プレースホルダーが2つか3つなら、手作業の検索・置換でも対応できます。それ以上になると時間がかかり、ひとつ間違えるだけでテキストにプレースホルダーが残ります。どの方法を使う場合でも、復元では次のことができる必要があります。
- 正しい案件の対応表を使うこと。あるクライアントのファイルにあるPerson_1が、別のクライアントの名前に置き換わることがあってはなりません。
- AIが出力する表記の違い(大文字・小文字、太字・斜体のマークアップ、アンダースコアの代わりのスペース)に対応すること。
- 対応表にないプレースホルダーは、推測で置き換えずに警告すること。AIが「Person_4」を作り出し、案件に関係する人が3人だけなら、そのことを知らせてほしいはずです。
- 元のファイルには手を加えず、保存しない限り、実名を戻したテキストをストレージに保管しないこと。
ClientSafeでは、回答をClientSafeに貼り付けて「名前を復元」を選択します。置き換えられたプレースホルダーの一覧と並べて、復元されたテキストを確認できます。案件の対応表にないプレースホルダーはそのまま残り、警告が表示されます。
実名を戻した回答で確認すること
- プレースホルダーの残り。 「Person_」、「Company_」、「_1」のパターンを検索します。残っているものは復元されていません。
- 作り出された事実。 AIがある情報を別の人に結び付けたり、文書にない事実を付け加えたりすることがあります。それぞれの主張を原文と照らし合わせてください。
- 復元後の文法。 「Person_1's lease」は「Maria Lopez's lease」になっても問題ありません。格変化のある言語では、復元した名前に適切な語尾が必要な場合があるため、文を読み直してください。
- 複数の人がひとつにまとめられている。 2人が同じプレースホルダーにまとめられていた場合、AIの回答では区別できません。確認メモを見て原文を修正し、もう一度質問してください。
- 新たに誰かを特定できる情報が加わっていないか。 AIが人物の正体について推測を加えていた場合は、削除してください。
具体例
リース契約書の安全なコピーをAIに送り、借主がどのようなリスクを負うか尋ねます。回答は次のように返ってきます。
Person_1 risks termination if two payments are missed. Company_1 must give written
notice to Person_1 at Address_1 before ending the lease.
PC上で復元すると、次のようになります。
Maria Lopez risks termination if two payments are missed. Northwind Ltd must give written
notice to Maria Lopez at 14 Harbor Street before ending the lease.
これで、法的な論点そのものを確認したうえで、クライアント宛てのメールに貼り付けられる回答になりました。チャットに実名が含まれることは一度もありません。
追加の質問
仕事の多くはやり取りを重ねて進みます。質問し、回答を読み、また質問します。追加の質問には毎回、同じ安全なコピーと同じプレースホルダーを使ってください。入力内容を変更した場合、たとえば確認で見落とした名前に印を付けた場合は、新しい安全なコピーを作って新しいチャットを始め、AIが異なる2つの版をもとに作業しないようにします。それぞれの回答を、その案件の対応表を使って復元してください。
AIとの会話と対応表は分けておきます。チャットにあるのはプレースホルダー、対応表にあるのは名前です。どちらか一方だけにアクセスできても、分かることはほとんどありません。
往復のどこで問題が起きるか
- 対応表とテキストが同じチャットに入ってしまう。 どれほど役立ちそうに思えても、AIを助けるために対応表を貼り付けてはいけません。
- ラウンドごとにプレースホルダーが変わる。 来週、新たに作った安全なコピーで追加の質問をすると、Person_1が別の人を指している可能性があります。同じ案件には同じ対応表を使ってください。 案件全体で同じプレースホルダーを使う方法は.
- 新しい人物が登場する。 新しい名前が出てくる文書を追加した場合、その名前には新しいプレースホルダーが割り当てられます。更新した対応表を使って復元してください。
- 回答をそのままクライアント向けの文書に入れる。 実名を戻したテキストは、読んで確認するまで草案として扱ってください。
よくある質問
1か月後に回答を復元できますか?
はい。その案件の対応表がまだあれば可能です。ClientSafeでは、案件を削除するまで対応表はPCに保管されます。
AIがプレースホルダーを変更した場合はどうなりますか?
推測で置き換えず、警告が表示されます。手作業で修正するか、ラベルを変更せずに回答を再生成するようAIに依頼してください。
復元するとAIに何かが送信されますか?
いいえ。回答をコピーした後に、PC上で行う手順です。
なぜAIに実名を使うよう頼まないのですか?
そうすると実名を送信することになるからです。往復の目的は、実名をPCの外に出さないことです。
ClientSafe PC上で案件ごとにひとつの置換表を保持し、AIの回答を貼り付けると実名を戻します。案件の対応表にないプレースホルダーは推測で置き換えず、警告します。使う前に結果を読んでください。