どの開発会社も、幅が広すぎて役に立たない金額を提示します。正直なところ、まだ見ていない要素によって答えが変わるからです。そこで、見積もりの内訳を説明します。AI開発でよくある4つの形態と、どれを依頼するのか、そしてそれぞれの費用を押し上げる要因です。
以下では金額ではなく、エンジニア週で費用を示します。単価は市場や担当者によって異なります。ドル建ての金額を掲載しても、読む人の大半にとって、読んだ当日には誤った情報になってしまうでしょう。実際に比較している単価を掛けてください。これらは、この種のものを開発してきた当社の見積もりであり、業界調査の結果ではありません。
AI開発の4つの形態
当社に寄せられる依頼のほとんどは、次のいずれか、または2つを組み合わせたものです。どの形態を希望するのかを明確にすることが、現実的な金額を把握するための最大の一歩です。これは、誰かに相談する前にできます。
| 形態 | 内容 | 最初の本番導入まで |
|---|---|---|
| 自社コンテンツに基づく回答 | スタッフや顧客が質問すると、自社の文書をもとに、出典を示して回答する | 4~8エンジニア週 |
| 抽出と分類 | 請求書、メール、チケット、フォームを、構造化された項目やカテゴリに変換する | 3~6エンジニア週 |
| タスクを実行するエージェント | テキストを生成するだけでなく、複数のシステムにまたがってアクションを実行する | 8~16エンジニア週 |
| 製品に組み込むモデル | ユーザーの端末または自社サーバーで動作し、サードパーティAPIを使わない | 10~20エンジニア週 |
下の2つは、同じ理由で幅の広い見積もりになっています。AI以外の要素に左右されるためです。エージェントの開発可能性は、アクションの実行に必要なAPI次第です。端末上で動くモデルは、対応すると決めたハードウェアの性能に制約されます。
実際に価格を左右するもの
具体的な抽出ワークフローについては、当社の 請求書データ抽出ガイド や 請求書処理のカスタム自動化サービスをご覧ください。受け付け、検証、スタッフによる確認、会計システムへのエクスポートまで対応します。
ここに挙げた要素のどれも、モデルではありません。モデルの選定は1週間の評価作業と、その後の設定ファイルの1行で済みます。提案書がそれを中心的な課題として扱っているなら、その提案書について考えるべきサインです。
- データの状態 最大の変動要因です。整理され、最新で、構造化された文書が1か所にまとまっているのが安価なケースです。互いに内容が食い違う4つの記録システム、スキャンしたPDF、2023年以降誰も更新していないWikiがあると、高額になります。必要な作業はデータ整備で、これはAIの有無にかかわらず必要だった作業です。
- 求められる精度 「人が確認する下書きを作る」のと「人の監視なしで行動する」の間には、大きな差があります。後者には、測定、失敗時の処理、安全に間違える仕組みが必要です。予算がかかるのはそこです。
- 連携するシステムの数 連携先ごとに、独自の認証、レート制限、エラーケースがあります。2つなら一般的ですが、6つとなると別のプロジェクトです。
- 評価を担当する人がいるか 回答が適切だったかどうかを判断できる人が社内にいないなら、まずそのための仕組みを構築する必要があります。取り組む価値はありますが、無料ではありません。
- データの保存先 「データを自社のインフラの外に出さない」は、正当な制約であり、設計上の要件です。通常は自社でホストするオープンウェイトモデルを使うことになり、一部の機能と引き換えに制御性を得て、ホスティング費用も自社負担になります。
忘れられがちな運用費用
開発費の見積もりは予算ではありません。リリース後も3つの費用が続きますが、通常、計画に含まれるのは最初の1つだけです。
- 利用料 リクエストごとに発生し、利用量に応じて増加します。試験導入の規模では安価なため、本番規模になったときに驚く人が少なくありません。アーキテクチャを決める前に、試験導入時の10倍の利用量で試算する価値があります。
- 評価と監視 コンテンツの変更や、プロバイダーによるモデルの更新に伴い、品質は変化します。それを監視する仕組みが必要です。
- プロバイダーの変更 モデルはプロバイダーのスケジュールで廃止されます。切り替えに毎年数日かかることを見込み、移行を難しくする設計は避けましょう。
概念実証にかける費用と、そこで証明すべきこと
期間は2~4週間です。それ以上かかるなら、概念実証ではなく、計画のないプロジェクトです。
重要なのは、何のために行うかです。概念実証はデモではなく、意思決定につなげるべきです。それを確実にするには、開始前に、成功とみなす数値と、その数値に届かなかった場合にどうするかを書き留めておきます。「チケットの少なくとも85%を正しく分類できること。できなければ中止する」は概念実証です。「AIで何ができるか見てみる」はワークショップです。
さらに、後々まで使える成果物も作るべきです。つまり、正解が付いた、少量の実データによるラベル付きサンプルです。このテストセットは、現在のモデルが使われなくなった後も役立ち、次の意思決定にかかる費用を抑えます。
ベンダーに尋ねるべき質問
- 1. 見積もりの2倍の費用になるとしたら、どんな場合ですか?
- 2. どのような数値で稼働状況を判断し、誰が測定しますか?
- 3. 試験導入の10倍の利用量では、月額いくらかかりますか?
- 4. 選んだモデルが廃止されたら、どうなりますか?
- 5. データはどこに送られ、何がどのくらい保持されますか?
- 6. 答えがわからないとき、システムはどう動きますか?
- 7. 最終的に、コード、プロンプト、評価セットの所有権は誰が持ちますか?
6つ目の質問が、最も多くのことを明らかにします。これに答えられないシステムは、確信ありげにでっち上げます。それが、利用するはずだった人々の信頼を失う原因になります。
開発しないほうがよい場合
開発しないようお伝えするケースが3つあります。早めにお伝えするほうが、お互いにとって費用を抑えられるからです。
- プロセスがどこにも文書化されていない ルールを説明できる人がいないなら、AIではなく、まず業務プロセスの整備から始めるべきです。
- 月に10回しか発生しない まれなタスクを自動化しても、自動化の保守費用を回収できないことがほとんどです。
- 既存の製品で対応できる データが差別化要因でないなら、購入しましょう。再開発の費用を請求するより、そのようにお伝えしたいと考えています。
私たちの仕事の進め方
当社は開発会社ではなく、小規模なエンジニアチームです。コードを書く本人と直接話せるため、間にアカウントマネージャーはいません。また、引き受ける案件を厳選しています。AI分野では、LLM連携、自社コンテンツの検索、エージェント、自社ホストモデルのデプロイに対応しています。スタジオ全体では、.NET、Python、TypeScript、クラウド開発も手がけています。
また、次の製品をはじめ、Windowsソフトウェアも自社で開発・提供しています。 言語モデルをユーザーのPC上だけで実行するテキストアシスタントを開発しているため、端末上での処理やプライバシー要件の厳しい領域も、当社にとって理論上の話ではありません。
作りたいものをお聞かせください
解決策ではなく、課題を説明してください。今どのような作業を誰がどれくらいの頻度で行っているか、うまくいかなかった場合にどれほどのコストがかかるかを教えてください。1営業日以内に、対応範囲と費用、または開発すべきでないと考える理由を返信します。